ヒューマンボディ 人体ダミーと危険体感マネキン
  • HOME
  • 危険体感マネキン
  • ポージングダミー
  • レスキューマネキン
  • 人体ダミー
  • 子どもダミー
  • 実験用マネキン
  • ショールーム
  • 会社概要
  • 研究開発
  • 納入実績
  • カタログダウンロード
  • お問い合わせ

日本人の平均体重と設計基準値の最新動向


1. 日本人の平均体重の現状

日本人の平均体重は、戦後から現在にかけて緩やかに増加し、近年はほぼ横ばいで推移しています。

厚生労働省「令和6年(2024年)国民健康・栄養調査」によると、成人男性(20〜59歳)の平均体重は約67〜70kg、成人女性(20〜59歳)では約53〜56kgです。


男性は30代後半から40代前半で体重のピークを迎え、その後は加齢とともに減少傾向にあります。

女性は40〜50代で最大値を示し、閉経後の代謝変化に伴って低下していきます。こうした変化は、基礎代謝量の減少と生活活動量の変化が主因です。

 

設計代表値を設定する際には、単純平均ではなく年齢分布を考慮する必要があります。

 

BMI(ビーエムアイ:Body Mass Index)の平均値は男性23前後、女性22前後で、WHO(ダブリューエイチオー:World Health Organization)が定める「正常体重(18.5〜24.9)」の範囲に収まっています。

 

日本人の体重は欧米に比べて全体的に軽く、米国CDC(シーディーシー:Centers for Disease Control and Prevention)が示す成人平均体重(男性約88kg、女性約76kg)との差は大きいといえます。


2. 平均値と設計代表値の違い

「平均体重(average weight)」は集団の統計的中心値にすぎませんが、設計代表値(representative mass)は安全性を確保するための「上振れ値」として設定されます。


たとえば、JIS D4604(自動車用シートベルト)ではダミー質量を75kg
と定義しており、ISO 8100-1(エレベータ設計基準)でも1人あたり75kgを想定しています。

 

これは平均より10kg程度重い値を採用し、体格差や積荷を含めた構造安全余裕を持たせるためです。

 

欧州ではこの「1人=75kg」が共通規格であり、EN 81-20(昇降機安全規格)やEU規則でも同値を採用。
一方、米国のFMVSS(エフエムブイエスエス:Federal Motor Vehicle Safety Standards)では1人=68kg(150lb)が標準です。

 

したがって、日本国内で設計・試験を行う際にも、輸出や国際認証を見据えた75kg基準を採用するのが合理的です。


3. 分野別の設計値の考え方

分野によって「1人あたりの想定体重」は異なります。


自動車や昇降機では75kg/人を基準とし、義肢装具ではISO 10328(下肢義足試験)で定められた60kg/80kg/100kg区分を用います。


エレベータでは「定員×75kg=定格荷重(rated load)」が計算の基本であり、自動車では「75kg×乗員数+積載荷重」が安全計算に使われます。


義足では使用者体重+安全率(約30%)を加算した100kgを基準とするケースが一般的です。

 

いずれも共通しているのは、「平均体重をそのまま採用しない」という点です。


設計における体重は構造安全を確保するための工学的パラメータであり、実測値に安全率を加えた「想定上限」として扱うのが国際的な考え方です。

 


4. 国際比較と日本の位置づけ

欧州連合(EU)では、ISO 8100-1:2019およびEN 81-20:2020により「乗員質量=75kg」が統一され、エレベータ、建築設備、自動車など広範囲に適用されています。


米国ではFMVSSを中心に「68kg」が使われ、両者の差は約10%。
日本のJIS規格はこれらの国際基準と整合する方向で改訂が進められており、実務的にも「75kg基準」が標準になりつつあります。


また、国内での平均体重(男性約70kg、女性約55kg)は、欧州基準75kgよりやや低いものの、安全設計上は国際値を採用した方が合理的と考えられています。

 


5. 設計者・研究者への提言

設計や試験を行う技術者は、以下の原則を押さえておくことが重要です。

 

1) 平均値ではなく代表値で設計する
 平均体重に安全率を加え、上位10〜15%の体格までカバーする。

 

 

2) 国際整合性を意識する
 欧州=75kg、米国=68kgを併記し、試験報告書や仕様書に明示する。

 


Glossary(用語解説)

 

用語

説明

BMI(Body Mass Index)

体格指数。体重(kg)÷身長(m)²で算出。WHOでは18.5〜24.9を正常範囲とする。

 

ISO(International Organization for Standardization)

国際標準化機構。国際的な技術規格を策定する機関。

 

JIS(Japanese Industrial Standards)

日本産業規格。日本国内の工業・安全規格体系。

 

代表体重(Representative Mass)

平均体重に安全率を加えた設計上の仮定質量。

 

FMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standards)

米国連邦自動車安全基準。乗員1人68kgを想定。

 

EN 81-20

欧州エレベータ安全規格。1人75kgで定格荷重を算出。

 

出典

 

 

  • 厚生労働省「令和6年(2024年)国民健康・栄養調査」Table 2-6
  • ISO 8100-1:2019(エレベータ設計基準)
  • EN 81-20:2020(昇降機安全規格)
  • FMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standards, 150lb基準)

作成日:2025年10月29日
Copyright (C) Avice, Inc. All Rights Reserved.

  • 技術開発の歴史と製品化
  • 人体ダミー開発の理念と実績
  • 高精度人体ダミーの活用事例
  • 日本人の平均体重と設計基準値の最新動向
    • JISと国際基準に見る「一人当たり体重」比較と設計への反映
    • 義肢装具における設計代表体重と ISO 10328 適合基準
    • 自動車・昇降機における乗員質量の国際比較(68kg vs 75kg)
    • 設計における代表体重の選定と今後の国際標準化動向
お問い合わせ

危険体感マネキン

身長170センチ、体重約70キロの危険体感マネキンは、人体の動きをリアルに再現する設計が施されています。このマネキンを使用した高所からの墜落実験では、安全帯を装着した状態での挙動を再現し、研修受講者に墜落時の衝撃や危険性を体感していただけます。このデモンストレーションにより、危険体感研修の現場でリアルな状況を再現し、安全対策の重要性を学ぶことが可能です。

お知らせ

株式会社アヴィス

茨城県つくば市花畑3-20-5 D101

お電話でのお問い合わせ

029-846-1176

営業時間:平日9:00~17:00

概要 | プライバシーポリシー | サイトマップ
Copyright(C)Avice,Inc. All Rights Reserved.
ログイン ログアウト | 編集
  • HOME
  • 危険体感マネキン
    • イベント動画アーカイブ
    • 墜落転落衝撃体感マネキン
      • 墜落・転落衝撃体感マネキン 170cm・70kg (HBD-0114-70K)(全方向)
      • 墜落・転落衝撃体感マネキン 180cm・130kg (HBD-0114-130K)(全方向)
      • ウエイトベスト 30kg (HBD-0114-30-VEST)
      • 墜落・転落衝撃体感マネキン 170cm・70kg (HBD-0101-70K-RF)(後方落下)
      • 墜落・転落衝撃体感マネキン 170cm・70kg (HBD-0102-70K-FF)(前方落下)
      • 危険体感マネキンの柔軟性
      • 危険体感マネキンの取り扱い方
    • 挟まれ・激突衝撃体感
      • 挟まれ・激突衝撃体感マネキン(HBD-0116-55K)
    • 巻き込まれ衝撃体感
      • 巻き込まれ衝撃体感マネキン (HBD-0118-00)
    • 飛来・落下衝撃体感
      • 飛来・落下衝撃体感 頭部モデル (HBD-0114-HEAD)
    • 危険体感マネキンオプション
      • 墜落衝撃吸収マット(二つ折)
      • 墜落衝撃吸収マット
      • 安全防護パッド
    • 危険体感教育とは(参考資料)
      • 危険体感とは
      • 実演方法・事例紹介
      • 教育実施時の注意点
      • 第14次労働災害防止計画について
      • 危険体感教育ガイド
      • 危険予知訓練(KYT)とは?
      • 安全帯性能評価ガイド
      • ワイヤ破断リスク訓練
      • 重機挟み込み・轢過シミュレーション
      • 不安全行動発見トレーニング
      • 救助・応急搬送訓練
      • 墜落制止用器具の使い方
      • シナリオ組み立てのステップ
    • 危険体感マネキンFAQ
  • ポージングダミー
  • レスキューマネキン
    • 陸上救助訓練用レスキューマネキン
      • レスキューマネキン・165cm
      • レスキューマネキン・177cm
      • レスキューマネキン・116cm
    • 水難救助訓練用レスキューマネキン
      • 成人水難救助マネキン
      • 子ども水難救助マネキン
  • 人体ダミー
    • ポジショニングダミー
      • ポジショニングダミー ヒューマンライク(HBD-0205-H70K)
      • ポジショニングダミー二輪乗車用(HBD-0205-H70K-BR)
      • ポジショニングダミー 耐久モデル(HBD-0205-D70K)
    • 事故再現ダミー
      • 事故再現ダミー 成人(HBD-0117-55K)
      • 事故再現ダミー 子ども(HBD-0117-26K)
    • ヒューマンライクダミー
    • ヒューマノイドダミー
    • 高齢者ダミー人形
      • 高齢者ダミー人形(可動域解説)
    • 特注品
      • 自立型近接戦闘マネキン・バディ
  • 子どもダミー
    • 子どもダミー人形
      • 新生児ダミー
      • 耐久モデル
      • ヒューマンライクモデル
    • 自転車用幼児座席評価用子どもダミー人形
      • ヒューマンライクモデル
      • 耐久モデル
      • 耐久モデル2分解型
    • 子どもの肺活量と最大換気量の科学
      • 肺活量(VC:Vital Capacity)とは
      • 最大換気量(MVV:Maximum Voluntary Ventilation)とは
      • 1950年代の研究
  • 実験用マネキン
    • ベーシックダミーF型
    • 子どもソフトボディ
    • 成人ソフトボディ
    • フレキドール
    • ユニバーサルジョイントマネキン
  • ショールーム
  • 会社概要
  • 研究開発
    • 技術開発の歴史と製品化
    • 人体ダミー開発の理念と実績
    • 高精度人体ダミーの活用事例
    • 日本人の平均体重と設計基準値の最新動向
      • JISと国際基準に見る「一人当たり体重」比較と設計への反映
      • 義肢装具における設計代表体重と ISO 10328 適合基準
      • 自動車・昇降機における乗員質量の国際比較(68kg vs 75kg)
      • 設計における代表体重の選定と今後の国際標準化動向
  • 納入実績
  • カタログダウンロード
  • お問い合わせ
  • トップへ戻る
閉じる