精密な姿勢再現と負荷評価に対応する高機能ポジショニングモデル
成人男性と同等の身長および体重を持ち、主要な関節が人体の可動域に基づいて滑らかに可動するよう設計された人体模擬ダミーです。 可動部位は、首、肩甲帯(胸鎖関節)、肩、ひじ、手首、胸椎、腰椎、股関節、ひざ、足首、つま先です。 肩甲帯、肩、腰椎、ひじ、股関節、ひざ、足首、手首には固定用ボルトが設けられており、任意の角度に手動で固定できます。 適切な使用方法により、自然なライディングポジションを再現することが可能です。
リアルな人体構造と関節再現
このダミーは、日本人平均体格に基づいて設計されており、以下の12部位の関節が可動・固定可能です:首、肩甲帯、肩、ひじ、手首、手指、胸椎、腰椎、股関節、ひざ、足首、足つま先。
回転軸にはクロームメッキ仕上げのステンレス製を使用。関節はボールジョイントやヒンジ構造を組み合わせ、精密な角度設定が可能。各部を固定することで、保持姿勢の安定性も確保されます。
部位 | 自由度(軸総数) | 主な可動方向 |
首 | 3 |
屈曲/伸展(前後40°相当)、側屈(左右40°)、 回旋(左右60°程度) |
肩甲帯 | 2 |
挙上/下制(上下20°/10°)、 前突/後退(前20°/後10°) |
肩 | 3×2=6 |
屈曲/伸展(前160°/後30°)、 外転/内転(外180°/内20°)、回旋(内外各約90°) |
肘 | 1×2=2 | 屈曲/伸展(0~140°) |
前腕回内/回外 | 1×2=2 | 回内/回外(0~90°) |
手首 | 2×2=4 | 屈曲/伸展(各45°)、橈屈/尺屈(各20°) |
胸椎(胸部) | 1 | 屈曲/伸展(約30°) |
腰椎 | 3 | 屈曲/伸展(約40°/10°)、側屈(左右30°) |
股関節 | 3×2=6 |
屈曲/伸展(前100°/後30°)、 外転/内転(外50°/内40°)、回旋(内外各約30°) |
膝 | 1×2=2 | 屈曲/伸展(0~120°) |
足首 | 2×2=4 | 背屈/底屈(各約20°)、内反/外反(各約20°) |
つま先 | 1×2=2 | 底屈/背屈(約5°/20°) |
合計 | 28 |
内部骨格はスチール製フレーム
胸郭および頭部には硬質ポリオレフィン樹脂
骨盤はFRP(ガラス繊維強化樹脂)製パーツを内蔵
外装は柔軟かつ高伸縮性のストレッチナイロン生地で仕上げ
着座時の体圧分散の再現も可能です。特に臀部の構造は、人体に近い沈み込み特性を持たせており、シート圧測定や装着具の評価に適しています。
坐骨結節とは
位置と構造:坐骨結節は骨盤を構成する坐骨の下部にある突出部で、左右に一対存在します。
触知可能性:椅子に座った際、お尻の下に感じる硬い部分が坐骨結節です。
椅子に座る際の役割
体重の支持:
坐骨結節は座位時に体重を直接支える主要な接点です。
この部位で体重を支えることで、腰椎や背筋への負担が軽減されます。
ダミーを収納箱から取り出した後は、平らで安定した床の上にうつぶせの状態で寝かせてください。
このうつぶせ姿勢が、各関節調整の基準となる「ホームポジション」です。
収納から取り出したダミーは、平坦で安定した床上にうつぶせで寝かせます。
両腕は体側にまっすぐ沿わせ、両脚は自然に伸ばしてください。背中のスリングロープが首の付け根から垂直に出ていることを確認します
ホームポジションを取らせた状態で、以下の関節に設けられた固定用ボルトを軽く緩めてください。
これにより、ダミーの各部が自然な姿勢をとれるようになります。
下記の関節ボルトを六角レンチ(6mm)で軽く緩めてください:
【背面】首、肩、肩甲帯、腰椎、股関節
【外側】ひじ、手首、ひざ
緩め幅は1/2回転程度。電動工具・潤滑剤は使用しないでください。
関節の初期調整が完了し、ダミーがホームポジションになった状態で、以下の手順で吊り上げを行ってください。
スリングロープにホイストのフックを確実に掛け、垂直にゆっくり吊り上げてください。
吊り上げた状態で、全身が垂直を保っているか確認します。
吊り上げたダミーを、バイク上に正しく配置するために以下の点を確認・調整します。
ダミーの体の縦方向中心軸(側面視)とバイクのステップ中心線を一致させてください。
両足がステップに自然に着地するまでゆっくりと降下させ、着座させます。
前後バランスも必要に応じて調整してください。
ダミーが着座したら、まず脚部の関節を固定します。
足首 → ひざ → 股関節の順でボルトを締めて固定します。
股関節締結時は、両脚が燃料タンクをしっかりホールドしていることを確認してください。
下半身の固定が完了したら、上半身の姿勢を整えていきます。
ライディングポーズに合わせ、以下の順で関節を調整・固定してください。
固定順:腰 → 肩甲帯 → ひじ → 手首 → 首
手首はボルトで固定可能ですが、指には固定構造がないため、
必要に応じてゴムバンド等で補助してください。
本製品は、風洞実験や静的な乗車姿勢再現を目的に設計されています。
各手順を正しく行い、関節部や構造体の破損を防ぐようご注意ください。
詳細な仕様については、株式会社アヴィスまでお問い合わせください。