本テキストは、指導員の皆様が危険体感マネキンを活用しながら、安全教育を効果的に実施できるように設計された改訂版マニュアルです。最新の第14次労働災害防止計画や令和以降の労働安全衛生法改正を反映し、特に高所作業におけるフルハーネス義務化※1対応を強化しています。
危険体感マネキンは、日本人体型に準拠した高性能モデルで、墜落・転落・巻き込み・飛来物など多様な事故シナリオを再現可能です。受講者は安全帯やヘルメットを装着した状態で外部から観察し、“見て”“感じる”ことで、座学のみでは得られない危険認知力と行動変容を促進します。
本書は全8章で構成され、法令・制度の最新動向から体感シナリオ設計、機器取扱い、指導技法、用語集・参考文献までを網羅します。各章末に学習ポイントとチェックリストを配置し、章ごとの理解度確認をサポートします。
労働災害の多くは、作業者自身が潜在的危険を認識できずに適切な防護措置を怠ることが要因です。危険体感教育は、実物大マネキンを用いた演習を通じ「墜落時の衝撃」「巻き込み挙動」等を体験させ、危険認知力を高めます。
第14次計画(2024~2028年度)は体験型教育の普及を重点施策に掲げています。本テキストは同計画の目標である労働災害発生率低減を支援すべく、体感演習と座学を組み合わせたハイブリッド研修モデルを提案します。
2022年改正の労働安全衛生法では、高所作業でのフルハーネス義務化が規定されました。本節では義務化の背景、適用範囲、法令条文の要点を整理します。
学習ポイント
労働安全衛生規則改正(令和元年厚生労働省令第33号):学科・実技教育範囲の明確化
安全衛生特別教育通達(平成30年基発0622第1号):体感演習必須化※3
安衛通達(令和元年基発0808第1号):訓練計画策定指針の更新
学習ポイント
目的
仮設足場での墜落リスクを認識し、フルハーネスの制止性能を体感する。
手順
足場モックアップのアンカーにマネキンを設置し、高さ2.2m以上を確保
フルハーネス装着済みマネキンを試験装置で落下試験
指導員が落下挙動を観察、受講者は安全距離からモニタリング
注意点
目的
タワークレーン操作時の落下・揺れリスクを体感
手順
ジブ先端に重心調整済みマネキンを設置
ジブ振れ幅を段階的に増加させつつ落下試験
ウエイトベスト30kg追加で負荷条件を体験
注意点
目的
一次落下後の二次荷重制止挙動を確認
手順
マネキンを2.2m落下後、吊り上げ挙動を観察
衝撃吸収マットと揺れ制御の比較
注意点
シナリオ設計の留意点を理解している
フルハーネス型墜落制止用器具
マット厚80mm以上を使用
観察機材は3m離隔
学習ポイント
落下シナリオ別評価手法を説明できる
シナリオ設計の留意点を理解している
D環※4:荷重分散部
ショルダーストラップ:肩部支持
レッグストラップ:腿部保持
アジャスター:適切テンション維持
サイズ選定
肩→胴→腿の順に装着
テンションチェック(拳1枚幅)
D環位置確認
指導員二重確認
日常点検:裂け・摩耗・変形の目視
定期点検:半年毎の機能試験
交換:使用5年以内または異常時
学習ポイント
各部名称と役割を説明できる
装着プロセスを実演できる
設置環境確認
アンカーボルト固定(M16:80N·m)
スリング長2.2m以上確保
クリアランス3m設定
安全ゾーン設定
設備点検リスト活用
天候制限(風速5m/s以上中止)
緊急停止装置準備
清掃:中性洗剤拭き→陰干し
保管:専用保管箱で湿気防止
学習ポイント
設置・点検手順を実践できる
緊急対応体制を説明できる
背景:座学のみで意識低迷
実施:足場体感→二次落下→振り返り
効果:不安感50%減、着用率98%
リスクアセスメント ※5
多様リスク体験
観察・フィードバック
フォローアップ調査
学習ポイント
効果測定方法を説明できる
設計手順と指標設定を理解
アイスブレイク体感演習
問いかけ方式で主体学習
3段階デブリーフ