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子どもの肺活量と最大換気量の科学 — 学童期の成長にともなう呼吸機能の発達


学童期の呼吸機能を測る意義

「肺は“見えない筋肉”である」。
この言葉は、スポーツ生理学や小児医学でしばしば引用される。
私たちは1日に約2万回の呼吸を行い、無意識のうちに酸素を取り込み、二酸化炭素を排出している。
その継続的な運動が、生命を支える基盤であることは言うまでもない。

 

とくに学童期(6〜12歳)は、呼吸器系の成長が著しい時期であり、
肺の容量・呼吸筋の発達・胸郭の可動性が急速に変化する。
この時期の呼吸機能を理解することは、教育現場における体力評価だけでなく、
小児医療・安全設計・人間工学の領域においても極めて重要である。

成長とともに変化する「呼吸のかたち」

学童の呼吸は年齢とともに進化する。
低学年の子どもは肋骨の角度が水平に近く、速くて浅い「胸式呼吸」が中心である。
成長にともない横隔膜の運動が発達し、より深い「腹式呼吸」へと移行する。

 

この変化は単なる呼吸のリズムではなく、肺活量(VC:Vital Capacity)や
最大換気量(MVV:Maximum Voluntary Ventilation) の発達と密接に関わっている。
肺活量は肺に蓄えられる空気の“量”を、最大換気量は一定時間に出入りできる“速さと持久力”を示す。
つまり、これら二つの指標は「子どもの呼吸力の全体像」を科学的に可視化するための鍵となる。

呼吸を測ることの意味

呼吸機能の測定は、単なる生理検査ではなく「成長を数値で見る」手段である。
肺の拡張力や呼吸筋の強さは、身体のバランス、姿勢、集中力、さらには情緒の安定にも影響する。
深い呼吸ができる子どもほど、ストレス耐性や運動能力が高いという報告もある。

しかし、現代の子どもたちは屋外活動の減少やマスク生活の影響により、
呼吸筋を十分に使う機会が減っていると指摘されている。
浅い呼吸が習慣化すると胸郭の可動域が狭まり、肺の伸展性が低下しやすい。
その結果、肺活量の伸びが停滞し、持久力や集中力にも影響を与える可能性がある。

 

このような変化を早期に捉えるには、肺活量(VC)と最大換気量(MVV)の定量的な測定が必要である。
呼吸の“質”を科学的に測ることは、未来の教育や医療の基盤となる。

教育・医療・安全分野での意義

教育分野での応用

学校教育では、呼吸法の指導や体力測定を通じて、成長の可視化が進んでいる。
正しい姿勢での深呼吸を習慣化させることで、集中力・姿勢制御・情緒安定に効果があることがわかってきた。
肺活量測定を教材化する動きもあり、「自分の成長を数値で知る」学びが始まっている。

医療分野での応用

小児科領域では、呼吸器疾患の早期発見に肺活量やMVVの測定が活用されている。
特に小児喘息やアレルギー疾患では、成長曲線と肺機能発達のずれを把握することが、
治療方針の策定に直結している。

安全工学・人間工学での応用

 

弊社(アヴィス)では、呼吸機能のデータを基盤としたヒューマンライクダミー(Human-Like Dummy)を開発している。
これは、事故再現・避難訓練・安全教育などの現場で、
実際の子どもの呼吸特性を再現し、安全性評価に役立てることを目的としている。
「子どもがどのように呼吸し、どのように動くか」を正確に再現することで、
より信頼性の高い教育・安全研究が可能になる。

 

過去の研究と現代の技術をつなぐ

1950年代、日本の研究者たちは学童の肺活量と最大換気量を実測し、
身長・体重・体表面積(BSA:Body Surface Area)との関係を定量化した。
当時の研究は器具が限られていたにもかかわらず、成長に伴う呼吸機能の変化を的確に示している。

 

現代では電子スパイロメーターにより、数秒で精密なデータが取得可能である。
この進化によって、過去のデータを再解析し、
成長に伴う呼吸機能の発達を時代を超えて比較することが可能となった。
アヴィスでは、この歴史的研究を再評価し、現代の国際基準(GLI-2012, ATS/ERS 2019)に基づいて
新たな呼吸発達モデルを構築している。

これからの研究への視点

本シリーズでは、肺活量・最大換気量という二つの軸から、
子どもの呼吸の進化を「データ」と「設計」の両側面から解き明かす。
教育・医療・安全設計を横断するこのテーマは、今後ますます重要になるだろう。

 

私たちは、過去の研究を敬意をもって受け継ぎながら、
AI
解析と生体模倣技術を活用して、子どもの“呼吸の科学”を次世代へとつなげていく。

Glossary(用語解説)

 

  • 肺活量(VC:Vital Capacity):最大吸気後に吐き出せる空気の総量。肺の容量と呼吸筋力の基礎指標。
  • 最大換気量(MVV:Maximum Voluntary Ventilation):一定時間に出入りできる空気の量。呼吸持久力の目安。
  • 胸郭(Rib Cage):肋骨と胸骨からなる構造。呼吸時の肺の動きを支える骨格。
  • 体表面積(BSA:Body Surface Area):身長・体重から算出される身体の表面積。肺活量補正に用いる。
  • スパイロメトリー(Spirometry):肺機能を測定する検査。電子式ではデジタル解析も可能。
  • GLI-2012:国際肺機能基準(Global Lung Initiative 2012)。年齢・性別・身長で予測値を補正するモデル。

出典・参考

 

  • 厚生労働省「体力・運動能力調査」
  • Global Lung Initiative (GLI-2012): https://www.lungfunction.org/
  • American Thoracic Society / European Respiratory Society (ATS/ERS) Technical Standard, 2019
  • 弊社技術資料「ヒューマンライクダミーにおける呼吸挙動解析」

Abstract

 

Title: The Science of Vital Capacity and Maximum Voluntary Ventilation in Children — Respiratory Development During School Age

Respiratory function evolves significantly during the school-age years (6–12).
Children’s breathing patterns shift from shallow thoracic breathing to deeper diaphragmatic breathing, accompanied by structural growth of the rib cage and increased muscular strength.
Vital Capacity (VC) quantifies the volume of air the lungs can hold, whereas Maximum Voluntary Ventilation (MVV) measures dynamic endurance and ventilatory efficiency.

Monitoring these parameters provides critical insight into the invisible aspects of child growth.
They serve as diagnostic tools for pediatric medicine, educational programs, and ergonomic safety design.
At Avice, Inc., these data are applied to the creation of Human-Like Dummies that reproduce children’s respiratory behavior for accident simulation, evacuation research, and safety education.

 

By integrating historical data from the 1950s with modern international standards such as GLI-2012 and ATS/ERS 2019,
the company aims to bridge physiology, data science, and engineering design.
This holistic approach reveals not only how children breathe but also how breathing reflects growth, health, and resilience in a changing environment.

作成日:2025年10月29日
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